「Strokes Gained(ストロークス・ゲインド:以下SG)を計測してみたいが、ラウンド中の記録が面倒ではないか?」
「番手や風向き、スイングの感触まで細かくメモしないと計算できないのではないか?」
データゴルフに興味を持ちながらも、入力の手間やプレーへの集中力低下を懸念して二の足を踏んでいるゴルファーは少なくありません。
しかし、結論から言えば、SGを算出するために必要なデータは「たった3つの要素(距離・ライ・打数)」だけです。
スイングの自己評価や番手、風などの感覚情報を記録する必要は一切ありません。
本稿では、ラウンド中に何をどう記録すればPGAツアー水準のSG分析が出力されるのか、その最小限のトラッキング手順と実例を解説します。
1. SG算出に必要な「3大データ」
SGの数理モデルは、各ショットの「開始地点」と「終了地点(着弾位置)」の期待打数差から計算されます。そのため、プレイヤーが記録すべき項目は以下の3つに完全に集約されます。

① 開始地点の「残り距離」
-
各ショットを打つ地点から、カップ(ピン)までの直線距離(ヤード)です。
-
ティイングエリアではホールの規定距離またはレーザー計測値、セカンド以降はレーザー距離計やカートGPSナビに表示される距離をそのまま使います。
-
パッティング時は、カップまでの距離(フィート、またはメートル・歩数)を記録します。
② ボールの「ライ(状態)」
ボールがどのサーフェス(芝・砂・状態)にあるかを、以下の5つの基本分類から選択するだけです。
-
Tee(ティー):ティイングエリア上のショット(Par3の1打目、Par4/5のティーショット)
-
Fairway(フェアウェイ):刈り込まれたフェアウェイ上
-
Rough(ラフ):ファーストカット、ラフ、セミラフ
-
Sand(バンカー):ガードバンカー、フェアウェイバンカー
-
Recovery(リカバリー):林の中、崖下など、直接グリーンを狙えないトラブル状態
※「つま先上がり」「ディボット跡」といった微細なコンディションを入力する必要はありません。
③ 着弾結果(次打の開始位置 or ホールアウト)
打ったボールがどこへ運ばれたか(=次のショットの残り距離とライ)を特定します。
-
ボールがカップに入った場合は「Hole Out(ホールアウト)」となります。
-
OBや池に入った場合は、ペナルティ(1打罰)とドロップ地点の距離・ライを記録します。
2. 1ホールの実例シミュレーション:Par4(400yd)の記録フロー
実際のラウンドでどのように記録され、裏側でどうSGが算出されるのかを具体例で見てみましょう。
実際のプレー例(400yd Par4 / 4打でパー)
-
1打目(ティーショット):ドライバーで250yd飛ばし、残り150ydのフェアウェイへ。
-
2打目(セカンドショット):150ydのフェアウェイから打ち、ピン奥6m(約20ft)にパーオン。
-
3打目(ファーストパット):20ftのバーディパットを打ち、カップ手前60cm(2ft)に寄せる。
-
4打目(セカンドパット):2ftのショートパットを沈めてカップイン(Hole Out)。
アプリに入力するデータと自動算出されるSG
| 打数 | 打つ前の位置 (ライ / 残り距離) | 打った後の位置 (ライ / 残り距離) | 判定されるSGカテゴリ | 自動算出されるSG値 |
| 1打目 | Tee (400yd) | Fairway (150yd) | SG: Off-the-Tee | +0.18(好ショット) |
| 2打目 | Fairway (150yd) | Green (20ft / 約6m) | SG: Approach | +0.07(安定オン) |
| 3打目 | Green (20ft) | Green (2ft / 約60cm) | SG: Putting (1st) | +0.00(ナイスラグ) |
| 4打目 | Green (2ft) | Hole Out (カップイン) | SG: Putting (2nd) | +0.00(タップイン) |
プレイヤーが行う作業は、各地点で「ライを選んで距離を入れる(またはGPSでタップする)」だけです。
複雑な期待打数テーブルの引き当てや引き算は、SGCaddieが全自動でバックグラウンド処理します。
3. ラウンド中の記録をストレスフリーにする「3つのコツ」
プレーのリズムを崩さず、スマートに記録を完結させるための運用テクニックです。
【ストレスフリーな記録の3大テクニック】
1. 「打つ前」ではなく「移動中・ホール間」に入力する
── アドレスに入る直前にスマホを操作しない。ボール地点まで歩く移動中や、
次のティイングエリアで同伴者のショットを待つ間にまとめて入力する。
2. パットの距離は「歩測(1歩=約90cm)」で素早く把握する
── マークしてボールを拾い上げる際や、ライン確認の移動時に歩数を数えておく。
(例:6歩 ≒ 約5.4m ≒ 18フィート)
3. 細かいヤード単位の誤差は気にしない
── 152ydか155ydかで計算結果が劇的に変わることはない。
レーザーやGPSの表示数値を大まかに記録すれば統計上十分。
結論:最小の入力コストで、最大精度のフィードバックを得る
ゴルフの上達において最も避けるべきは、「感覚に頼った曖昧な反省」と「記録疲れによる挫折」です。
Strokes Gainedの最大の強みは、「距離・ライ・打数」という極限まで削ぎ落とされた客観的事実だけから、プロと同等精度の弱点診断を導き出せる数理構造にあります。
余計な主観を捨て、事実だけを淡々とSGCaddieに記録する。
そのスマートな習慣が、あなたのゴルフを最短距離で理想のスコアへと導きます。
