ティーインググラウンドで「このホールは左OB」と知っても、では何ヤード右を向けばいいのかは出てこない。逃がす量は、自分の散らばりと、どこまで許容するかで決まります。感覚では決まらないし、決めても再現しません。
楕円を、罰打の外へ逃がす
ショットパターンは、狙いを変えても大きさも傾きも変わりません。変わるのは中心の位置だけです。だからティーショットの判断は、「どこを向くか」ではなく「楕円をどこに置くか」になります。

中心をフェアウェイの真ん中に置くと、80%の輪の左端がOB線を越えます。右へ寄せると、輪がOBの内側に収まる。代備に右のラフが増えます。この交換が割に合うかどうかが、判断の中身です。
罰打は、左右で釣り合わない

ラフに入っても、失うのは0.2打前後です。バンカーでも0.35打程度。ところがOBで打ち直しになれば、場所が1ヤードも進まないまま2打消えます。計算式に入れれば、ティーからのOBはその1打で約02打の損です。
だから、左右に同じ幅で散らばっても、損失は釣り合いません。片側だけに罰打があるホールでは、楕円の中心を安全側へずらすだけで期待打数が下がる。奇をてらった作戦ではなく、単なる引き算の結果です。
どの輪を逃がすか
ここで含有率の輪が効いてきます。すべての球をOBの外に出そうとすると、中心を極端に右へ振ることになり、今度は右のトラブルに入ります。現実的な判断は「どこまで許容するか」です。
目安はハザードの重さで変えます。OBや池なら外側の輪まで逃がす。ラフなら内側の輪で十分。0.2打しか失わないラフを避けるために、反対側のリスクを背負うのは本末です。
逃がす量はハザードの重さで決まる。全部を避けようとすると、反対側を拾う。
ドライバーを封印しても、ティー層は無傷にならない
2026年7月20日のラウンドで、ドライバーを使わずミニドライバーに限定しました。結果はフェアウェイキープが14ホール中6回(43%)、OBが2発。前半2/7、後半4/7です。
短いクラブにすれば散らばりは小さくなりますが、ゼロにはならない。中心が左に寄っていれば、楕円の左端はやはりOBに届きます。番手を短くするのは楕円を小さくする手段であって、中心を動かす手段ではありません。二つは別の操作で、両方やって初めてOBが減ります。
自分の中心を知る
逃がす量を決めるには、散らばりの幅と、中心がどちらにどれだけ寄っているかの二つが要ります。記録は粗くて構いません。ティーショットごとに、フェアウェイ・左・右の3つをつけるだけで3ラウンドもすれば偏りが見えます。
ただし、練習場やシミュレータの数字を使わないこと。平らなマットでの散らばりはコースよりもはるかに小さく出ます。その数字で逃がす量を決めると、足りない。
バックティーから打たない
散らばりは距離に比例して広がります。同じホールでも前のティーからなら楕円が小さくなり、ハザードの間を通しやすくなる。同じ理由で、4番ウッドで刻む判断も成立します。
飛距離を捨てる分、残り距離は伸びます。残り距離は短いほどやさしいので、これは損です。交換が割に合うのは、OBや池を避けられるときだけ。ラフを避けるために番手を落とすのは、ほぼ常に損です。
まとめ
ティーショットの判断は、楕円をどこに置くか。逃がす量はハザードの重さで決まり、OBや池なら外側の輪まで、ラフなら内側の輪で十分。番手を短くするのは楕円を小さくする操作で、中心を動かす操作とは別です。
出典:Mark Broadie『Every Shot Counts』(邦訳『ゴルフデータ革命』)。打数の数値はツアー基準の概数で、図は概念図です。実測は2026年7月20日・美浦GCでの1ラウンド。

