残り距離の神話——中途半端な50ヤードは、本当に難しいのか

パー5で届かないと分かったとき、多くの人が「100ヤード残してフルショット」を選びます。中途半端な50ヤードは難しいから、と。この感覚は広く共有されていますが、期待打数のカーブには現れません。近いほど、一貫してやさしい。

目次

カーブは単調に下がる

グリーンまでの残り距離と期待打数の関係。距離が短いほど期待打数は小さく、カーブは単調に下がる
中途半端な距離でカーブが盛り上がることはない(ツアー基準の概数)

50ヤードの期待打数は、2.60前後。100ヤードは2.80前後。50ヤードのほうが0.2打強、有利です。もし「中途半端な距離は難しい」が正しければ、カーブはどこかで盛り上がっていなければならない。そうなっていません。

なぜ感覚とずれるのか

記憶の偏りです。半端な距離でダフった・トップした失敗は、強く残ります。一方、100ヤードのフルショットをグリーン奥に外したミスは、「振り切ったから良し」として忘れられる。

もう一つ、実際に難しさが存在するのは確かです。振り幅の調節が要る分、ミスの幅は広くなります。ただしその不利を、距離が半分になる有利が上回っている。差し引きで近いほうが勝つ、というのがデータの結論です。

中途半端な距離は、難しい。しかし遠い距離よりはやさしい。この二つは両立する。

では、どこまで刻むのか

カーブが単調なら、結論は「打てる限り前へ」になります。レイアップの目安は距離ではなく、ライと障害物で決めることになる。

前へ出すとバンカーに入る、ラフに入る、横断のハザードを越える。こういう事情があるときだけ、手前に置く判断が成立します。「得意な距離を残す」という理由で手前に置くのは、カーブの分だけ損をしています。

ライの影響は距離より大きいこともあります。深いラフの50ヤードより、フェアウェイの100ヤードのほうが楽な場面は普通にある。ライが全てというのはこういうところです。判断の順序は、ライが先で距離が後。

アマチュアの場合はもっとはっきり出る

カーブの形はレベルで変わりますが、単調に下がるという向きは変わりません。むしろアマチュアのほうが、遠い距離での損失が大きい。200ヤードをグリーンに乗せられる確率はツアーとアマチュアで大きく違うからです。

だから「届かないなら前へ」の原則は、アマチュアにこそ強く働きます。自分の基準値で見ても、結論の向きは同じです。

まとめ

期待打数は距離に対して単調に下がります。中途半端な距離を避けて手前に置く判断は、それだけでは損になる。レイアップを決めるのは距離の好みではなく、ライと障害物です。


出典:Mark Broadie『Every Shot Counts』(邦訳『ゴルフデータ革命』)。本文の期待打数はツアー基準の概数で、カーブの形を示すために丸めています。

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