ピンにデッドで狙うと、寄る回数は確かに増えます。それでもグリーンセンター狙いのほうが得になる。理由は単純で、寄る回数と、大きく外す回数はセットで動くからです。
同じ散らばりを、二つの狙いで重ねる
ショットパターンは、狙いを変えても大きさが変わりません。変わるのは中心の位置だけです。だから「どこに中心を置くか」がそのまま結果の分布を決めます。

右奥のピンに中心を合わせると、分布の半分以上がグリーンの外側にはみ出します。センターに置けば、同じ散らばりでも大部分がグリーンに残る。絵で見れば当たり前の話ですが、コース上ではピンしか見えていません。
寄る回数と、外す回数はセット

ピンを狙えば、1ピンにつく回数は増えます。同時に、バンカーやグリーン外にこぼれる回数も増える。この二つは同じ分布から出てくるので、片方だけを取ることはできません。
問題は、この二つの重みが違うことです。2メートルのバーディパットが入る確率は、アマチュアなら高くありません。一方、ショートサイドのバンカーに入れば、寄せて1パットで収まる確率は低い。得られるものは小さく、失うものは大きい。
ピンを狙う判断は、小さな利益と大きな損失を交換している。
ショートサイドという言葉
ピンがグリーンの端に切られているとき、その端側をショートサイドと呼びます。ここに外すと、グリーンに乗せてからカップまでの距離が短すぎて、寄せるスペースがない。
逆に反対側(ファットサイド)に外せば、グリーンを広く使って寄せられます。同じ「グリーンを外した」でも、期待打数ははっきり違います。センター狙いが効くのは、外したときに自動的にファットサイドになるからでもあります。
実際に変えてみた結果
7月20日のラウンドで、狙いを全面的にグリーンセンターとファットサイドへ変えました。スコアは87。そしてパット数は33でした。
パットが増えたのは失敗ではなく、狙って増やした数字です。センターに乗せればファーストパットは遠くなり、2パットが増える。パット数の総和は、その手前のショットに汚染されます。この日の33パットを「パットが悪い」と読むのは誤りです。
こういう取り違えを防ぐために、SG:PUTT(Putting/パット)はファーストパットの距離を基準に計算します。回数ではなく、距離に対して何打かかったかを見る。
いつピンを狙うのか
常にセンターという話ではありません。残りが短いほど散らばりは小さく、分布がグリーンに収まるならピンを狙っても損をしません。目安は、散らばりの幅がピンとグリーン端の距離に収まるかどうか。収まらないなら、中心を内側へ戻す。
スコアが必要な場面も例外です。終盤でバーディが要るなら、期待打数の損を承知で分散を取りにいく判断は成立します。ただしそれは例外であって、既定ではない。
まとめ
ピンを狙うと、寄る回数と大きく外す回数が同時に増えます。得るものは小さく、失うものは大きい。散らばりがグリーンに収まらないなら中心をセンターへ。その結果パット数が増えても、それは払った代金です。
出典:Mark Broadie『Every Shot Counts』(邦訳『ゴルフデータ革命』)。図はいずれも概念図で、実測値ではありません。実際の最適解はショットパターンとグリーン形状によって変わります。

